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円高がわかった

「円は85年夏頃の250円から、88年1月には125円に高くなった」を、省略なし、逆立ちなしで考えてみましょう。1ドルが250だと、1円は0.004ドルですね。1ドルが215円になれば、1円は125分の1ドル、つまり0.008ドル。どちらが円高であるか、一目瞭然でしょう。このように、「1円何ドル」という形に直せば、スッキリ、サワヤカにわかります。日本でかせいだ1万円は、今回の円高前は海外で40ドル。いまや80ドル。1日を40ドルで過ごすより80ドル使えるほうがずっと楽です。だから円高は善。善の側面を円高メリットと言ってます。でもメリットを実現するにはいろんなハードルを越えなければなりません。そのことがわかってこそ円高がわかったと言えます。

89年のトウモロコシを例に取る

89年のトウモロコシを例に取ると、年平均の市場価格は1ブッシェル(約25.4kg)当たり2.25ドルでしたが、アメリカ連邦政府は融資レートを1.65ドルに、目標価格を2.84ドルに設定し、結果的に全生産の12%に相当する9億2500万ブッシェルのトウモロコシが価格支持制度の対象となりました。この二つの制度により、アメリカの農家はたとえ農産物の市場価格が低くなっても、不足分を政府からもらえるため、赤字転落を防ぐことができるわけです。このため当然農家の補助金依存は高まり、ピークの83年には農家の純所得に占める政府補助金の割合は60%を超えました。以後この割合は減少傾向にありますが、90年でもいぜんとして約18%の水準にあります。さてこの補助金依存がもたらす問題は、大きく分けて二つあります。一つはアメリカの消費者がマーケットメカニズムによる価格よりも高い価格を負担しなければならないという問題。そしてもう一つは、政府による補助金が増加し、アメリカの財政赤字の一因を作り出しているという問題です。そこでアメリカ政府もこの問題を反省、90年の農業基本法では財政の均衡を意識して、市場志向型を基調としました。

日本は急速に少子高齢化が進んでいく

国内事情で言うと、これから先、日本は急速に少子高齢化が進んでいく。国立社会保障・人口問題研究所からは、2005年の日本の人口は1億2777万人、それが2030年になると1億1522万人に、2050年では9515万人という予想が明らかにされている。働き手(就労人口)が少なくなれば、市場(=国内人口)も当然縮小する。「ヒト」という、企業の存立基盤をあやうくする事態を迎えるのである。この予測にさらに深刻な追い打ちをかけるのが、非正規社員の増加であろう。現在、正規社員・非正規社員は格差という面から議論されるケースが多いが、別の側面もある。いまの日本の国際競争力は、派遣社員やパート、期間従業員といった非正規社員の上に成り立っているのは明らかである。製造業の国内回帰などはその典型であろう。こうした雇用形態は、短期的には企業の業績を押し上げるが、ただし、中期的視点で見た場合の彼ら彼女らの増加は、本来、就労人口であり消費者であるはずの人々のフリーター化、ニート化を進めることとなる。したがって、従来のような「作って買って、さらに作って売って……」という生産・再生産のサイクルがうまく回らなくなることを示唆している。そして中長期的に見れば、彼ら彼女ら(フリーターやニートの多い、いわゆる「ロストジェネレーション」と呼ばれる時代)が年金受給年齢になる2037年から47年ごろ、日本は、「ヒトはいない、したがって市場はない、さらにカネもない」という深刻な状況に陥っているであろう。まさに「劣化」である。「劣化する日本」の予兆−というには大げさすぎるが、たとえば、内閣府が発表したドルベースの日本の一人当たりGDP(国内総生産)は、1993年に世界第2位になったが、バブル崩壊とその後の経済の低迷期を経て、景気回復と言われながらも、2007年には、18位にまで後退している。すでに、国の勢いの衰えが始まっているのである。